「ロボット」心理学

今週のあたまに読んだ本ですが、結構面白いのでお勧めです。

「ロボット」心理学

「ロボット」心理学

タイトルから、機械の事のように感じてしまいますが、人間の(脳の中の)習慣的なお話です。


帯のインパクトが結構強くて

人はどうして退屈してしまうのか?

私には長い間、解決しなければならない問題があった。
それは私の退屈しやすいという性質と、飽きっぽいという性質だった。
これらは私の生活を難しくし、影のようにまとわりつく私の最悪の敵だった

と書かれています。


深刻そうなタッチで書かれていますが、誰にでもあてはまることではないでしょうか?
そんな敵に、本書が決着をつけたという訳です。


出てくるキーワードは、2点。
「ロボット」と「ネオフィリア」


まず「ロボット」。
この本で言うロボットとは、人間の学習能力の事を指しています。

自転車に乗れるようになったり、車を運転したりすることができるのは、このロボットのおかげであるというわけです。

私も毎朝、車を運転して通勤できるのも、この「ロボット」のおかげなんですね。


面白いのはここから。
この「ロボット」が学習をすることで、繰り返し同じ事をするうちに楽しみが徐々に失われていくという点。

例えば、免許をとってもう何年も経った方、初めてドライブした時の感動は今はないですよね?むしろ、運転が面倒な時さえもありますよね?

他には、好きなアーティストの同じ曲を何十回も聞くと飽きますよね?
何回も、同じ場所に行くとたいていの場合飽きますよね?
毎日3食、同じものを食べるとさすがに飽きますよね?
(一般的にですけど)


これは、全てこの「ロボット」によって、注意を向けさせないようにされているからなんだそうですよ。
この「ロボット」の目的は、「重要なことだけに、ヒトの注意を向けさせること」であり、重要でない仕事(何度も体験した事)はこのロボットが担当し、もっと大事な事へ人間の自意識を向けさせるというものです。



もう一つのキーワードが、「ネオフィリア」。
ライアル・ワトソンという方が「ネオフィリア - 新しもの好きの生態学」という文献で指摘した理論なんだそうです。

一言で表すと「ネオフィリア=新しもの好き」

ロボットによって、奪われた楽しみをカバーするがごとく、何か新しい刺激やモノを求めてしまう性質(この場合はネオフィリック)を言います。

先ほど書いたのを使えば
好きなアーティストの曲、同じもの以外にも何か新しい曲が聴きたくなりますよね?
何回も、旅行で同じ場所に行くのではなく、別の場所に行きたくなりますよね?
毎日3食同じものではなく、違うものを食べたいですよね?


こうやって、ネオフィリックという心理と、ロボットの二人三脚がはじまり、同じ体験や作業等に飽きては、又新しいモノ・コトを求めて行動してしまうんだそうです。
これが、現代の経済社会を支えているという事なんでしょうか。


こういった話を、人類の進化や他の哺乳類のとの比較(トラやライオン)を織り交ぜなから書かれていて面白い内容になってます。


これからは、何か欲しくなった時は「ネオフィリアだなぁ」とか、何度も見たものに関心が薄れてきた時には「あ、ロボットが働いていたんだ」なんて考えてしまいそうです。